ビーチェ
Bice
height
50cm
color
ヴェルデ・ギャッチョ #7DCBCC
shape
猫のしっぽクッションのように、灰色の大きな毛玉からしっぽが一本にょきっと生えている
こんな美少女と旅ができるあなたは幸運ね!
…なあに、その物言いたげなかわいい顔は。
しっぽモフらせてあげないわよー!?
その灰色の毛玉に、目鼻口はない。あるのはただ、猫によく似たしっぽだけ。それは、ぽよぽよと跳ねて移動をする。持ち上げると幼児ぐらいの重さがあるが、高い場所に登るのは得意である。毛玉は基本的にバランスボールと同じ形をしていて、狭い穴を通ったりするときはスライムのようにぬるっと変形したりもする。きっと骨はない。しっぽは猫みたいなのに、嬉しいときはぶんぶんと大きく振れるから、犬みたいでもある。ちなみに付け根をうりうりと撫ぜられるのが好き。艶やかでやわらかな毛並みが自慢だけれど、ともだちの体調が悪い時はぱさぱさになってしまう。そして、しっぽしかないくせに非常におしゃべりだ。自分を人間だと思っているタイプのケモノ。性格はやや高慢気味。でもともだちのことも可愛くて仕方がないから、ちょっとはずかしいしっぽの先っちょも触らせてあげるのだ。──最近は、両腕も生えてきたらいいのにと思っている。

クロウ
Clow
height
169cm
color
ゴデチア #F43D76
shape
人間
時に、今日のご予定をお伺いしても?
決めていない? 世界が貴方を恋しく呼んで
いるのに! ─さあ。御手をどうぞ。
大仰な身振り手振りに豊かな感情の起伏を見せる姿は、宛ら舞台に挙がった役者を髣髴とさせ、すっぽりとフードを被せて陰る眼元に光る眼差しはいつだって煌々と愉快気な光を帯びていた。人型を模した影法師は自らをクロウと名乗り、連れ添う人間の調子に関わりなく、よく言えば賑やかに、実情は姦しくもよく喋り立てる壊れたスピーカー状態だった。世の中に興味津々で、共にいる一人きりの友人にはもっと興味津々だった。まるで舞台役者を気取るような態度でいて、胡散臭い脇役者はこの舞台の主演は貴方ですよと言わんばかりに時に友人を担ぎ上げ、叱咤し、囃し立てた。空気が読めない訳ではないが、敢えて読まない事は多々。とはいえ友の出方次第。悲喜交々。いついかなる時も即興劇を待ちわびている。

えんじゅ
Enju
height
10cm程度
color
自慢の毛並み #f7b977
shape
ハムスター
ああ、君との旅路は悪くはないとも。
今はそれで構わないけれど、ねえ君?
僕が消えたら一体どうするつもりなんだい。
油滴のような黒い瞳に桃色の鼻、三角の薄い耳。アプリコットの毛並みはふわふわと長く、サテンめいた手触りと光沢を有する。いつも何となく微笑んでいる気がするが、表情は無いに等しい。持つともっちり暖かい。幼い面差しと仕草に反して冷静で穏やか。淡々と振る舞い、時に辛辣。唯一の友だちに対しても自身が幻であることを隠しもせず己が消える場合の事から何からずけずけ切り込む。夜行性であるはずが大体いつも友だちに合わせて起きている。が、普通に寝ている日もある。友だちの頭や肩、カバンの中で眠るのも好き。移動は友だちの横に着いたり後ろを追ったり。頭や肩に乗るのもお手の物。バランス感覚は並より上。都合が悪いことはハムスターだから忘れたと嘯き、狸寝入りもよく決め込む。食事の時は頬袋にパンパンに詰め込んでいるがいつの間にかなくなっており、ふと気づけば何かしらつまんでいる。見かけた覚えのない種子類や野菜の欠片が多い。

ハオユー
hao yu
height
130cm
color
Jet #343434
shape
パンダ
今の生活もぼくは不満じゃないよお。
きみがさびしいときは抱きしめてあげれる。
そしたら、しあわせって思えるよね〜?
大きな体躯にふわふわの体毛、もっちりとした肉球と憎めない穏やかな顔つき。世が世なら動物園の人気者として大勢の人に愛され大活躍だったろうその身は、今となってはたった一人のためだけに存在している。パンダの姿に引っ張られているのか荒廃した世界でしかしそれに似つかわしくないのんびりとした生き方を貫いている。できるだけ動きたくない、のんびりしたい、食べて寝るだけの生活がいい。怠惰の極みのような欲望を常に掲げ、親友を堕落の道に引っ張り込もうとあの手この手パンダの手で誘惑する姿が頻繁に見受けられる。とはいえ親友が生き残るための協力を惜しむわけにもいかず、己の願望を投げ捨て食糧調達や周辺地域の探索を泣き真似をしながら行っているようだ。自分が存在している間は幸せでいてほしい、そんな想いから親友をぎゅうと抱きしめることを日課としていたが、いつからか自分の喜びにもなっていることはあまり知られたくない秘密らしい。

I
アイ
height
あなたと同じ
color
カスケード #7ebcc4
shape
あなたのかたち
今日は歩きたくない気分なんだよね
僕もそうさ。だから休もう。
大丈夫、目覚めたから 今日は死ねないよ
あなたは悪夢を見る。身動きが取れず、息苦しさに目を覚ませば、あなたの首に手を掛ける《あなた》が身体の上にいるだろう。優しげに眼差しを細め、吊り上がった唇から舌を覗かせて、ご機嫌な声で笑う「おはよう、僕。今日も死ねなかったね。」《それ》は頭のてっぺんから爪の先まであなたと瓜二つのイマジナリーフレンドで、名前もあなたと同じものを名乗ることだろう。あなたと同じ声で軽快によく喋り、まるで《それ》があなたの全てを理解しているかのように振る舞う。深層心理を表しているのは《それ》で、あなたは表面上取り繕っているのだと断定する。何かにつけてあなたのことを殺そうと画策し、わりと頻繁に寝込みを襲う。目が覚めなければ本当に死んでいたと確信を持つには十分な意志の強さで首を絞めるが、そこに何かの感情を見つけることは不可能だろう。殺意も憎悪もなく、「僕がそうされたがっているからさ。」と微笑むのみ。

イス
Isu
height
90cm
color
桃花心木 #6b3f31
shape
椅子(一人掛け)
いやあ、お互い不運だね。君の話し相手は
僕だけで、僕に座って貰える人間は君一人。
…いや、一周回って幸運と捉えるべきか。
何の変哲もない、一人掛けの椅子である。座面はすり減り長年使われた形跡があり、背凭れには人が繰り返し触れた痕があり、また背を預ければ僅かに軋む。ある時は木製で、またある時は車輪のあるオフィスチェア。機嫌がいい時などは布張りのソファチェアの姿であるかも知れない。無意識の中に存在する、不明瞭な椅子の記憶。だがその椅子には自我がある。ただそこに在り、ものも言わず誰かに使われる事だけを求められる、そんな呼牛呼馬の家具等とは一線を画すと嘯くその椅子は、落ち着いた成人男性の声をして恐れ多くもあなたに話しかける。呼べば応えるし、意見を求められれば弁舌を振るう。電子やニューロンでできた回路などない。ネットワークを介したヴァーチャルなアシスタントなどでもない。人間と同様に思考する者としての自尊心を持ち、またそれ故に椅子たる矜恃を持っている。そんな椅子である。少なくとも、あなたがこの世界に在るうちは。

メメント
Memento
height
不明
color
ジキタリス #F0EFF4
shape
ここが天国でも地獄でも、終わりがなくても
キミの手を取って踊ってあげる。
ボクらはずっと1人ぼっちで、2人きりだ。
役目を忘れた世界を、そのまやかしは愛していた。正しいかたちを知らないままただひとりの為だけに在ることも、それなりに。気まぐれに輪郭を変える白煙が、中でもひとの姿を成すことが多いのは唯一の“友だち”へ寄り添うためだったけれど、適当にでっちあげたそのかたちをメメントは存外気に入っていた。「まるで本当の友だちみたいだ」と上機嫌にうそぶいたのは生まれてすぐのことで、丁寧な足取りで歩み寄る終末と、存在の脆弱さを正しく認識したのもちょうどその頃。寂れてなお美しい世界は2人きりのためだと思いこむには広すぎたけど、“もしも”の仮定を遊ばせることはしなかった。それよりも、弔鐘の鳴るこの世界を歪な2人きりのまま終わらせたがっている。どちらにしたって、まやかしは1人きりでは生きていられないのだから。

メリー
Merry
height
直立時平均160cm前後
color
ラグーン #00888c
shape
「泣き虫」と「嘘つき」
う るる うぼ るるう ぼう ぼう
おあよお…………おはよおう。
あめががったおお。あめが、あがったよお?
その下半身はどす黒くぬらつく十数本の触腕の集合である。常にざわざわと不規則に蠢き、一本ずつが伸縮自在だ。たとえばあなたが涙を流せば、拭おうとして触れるだろう。あなたは頬に人肌よりも少しだけ高い温度と、蛞蝓が這った跡のようなてらつきを錯覚する。不快感以外の実害はない。上半分はつくりの整った少年で、あなたの何かに応じてリトマス試験紙のように色を変える。メリーと自分は機嫌が反比例するようだと感じるかもしれない。初めのうちは底無し沼が泥のあぶくを吐くようにごぼごぼと濁った音しか発せなかったが、あなたの口の形、あなたの言葉を少しずつ覚えて最近では会話が成立するようになってきた。触腕の万能さと裏腹に、ひとの形をしている方の手はひどく不器用だ。メリーは紛れもなくあなたの助けになりたい。凍える夜には長く長く伸ばした腕でぬるぬるの毛布を編もうとするが、寝心地のよいものではないし取れる暖とてまやかしだ。

ピート
Pete
height
20cm
color
アップルグリーン #a2cc89
shape
背に半透明の蝶のそれに似た形状の翅を生やした少年
さぁ、俯いてる暇はないよ。
いざゆかん、冒険の旅へ!
ここは僕らのネバー・ランドさ!
新緑の衣服を身にまとったとある御伽噺に出てくる少年に似て、陽気な楽天家といった性格。当人曰く「色々混ざっちゃったよね」と評する、背に生えた妖精の羽根で自由気ままにあたりを飛び回り、疲れたら相棒の肩に、或いは頭の上に乗っかって羽を休めるついでに移動をサボる事も多々ある。そのくせその有り余る好奇心のままに、あっちこっちと行く先を指示するのだからやかましい事この上ない。仮に鬱陶しがられようと多少邪険にされようとめげない鋼のメンタル持ちで、ぺらぺらとよくも話題が尽きないと思う程に良く喋るが、いつでも能天気で明るく、終末の世界にあっても笑い声を絶やす事はないだろう。

ルウト
Root
height
全高約40cm
color
きみどり #b2d235
shape
まんどらごら
きみのそばにいられることが
しあわせだ ぼくの
それは きみにも ひていできないことだよ
透き通るような光を秘めた真っ白のからだには目もなく口もなく、からだの下部から二股に分かれた足でちょこまかと歩きまわり、頭上にはさわさわと鮮やかな緑の葉っぱが数枚揺れている。もしも正体を尋ねれば「みてのとおりの まんどらごらさ!」と、どこからどう見ても二足歩行のその大根は言ってのけるに違いない。明るく素直で、活発。口がないので発声の仕組みは謎だが、舌っ足らずの少年めいた声色で、歌うようによく話す。嘘だか本当だかわからぬような話をしては、ひとりで楽しげに笑っていることも多いかもしれない。表情はないが、おおげさなほどの全身の動きで、感情を読み取ることは容易いはずだ。その外見の割にじっとしているのはあまり得意でないようで、大抵は“そのひと”の傍を飽きるでもなく歩き回っている。チャームポイントはさらりとした触感ながらもちもちとした弾力のある肌で、気が向いたときに揉んでもらうのが好きなようだ。

タクシー
taxi
height
150cmくらい
color
ハニー #ecc656
shape
おいおい相棒、水臭いこと言うなって。
ここまで一緒に無事故でやってきた仲だろ。
……え、お手洗い? 退散〜(*ノ∀ノ)
滅亡した世界で、停車していた車が突然フロントガラスににっこりとした顔文字を貼り付けて「こんちは〜」とゆるゆる挨拶をしてきた。それが出会いだろう。華やかな真っ黄色に塗られたタクシーは、滅んだ世界に不釣り合いなほどに呑気で陽気でいじわるな、しかし一番の味方だと豪語しては「あんたのいきたい場所まで連れてくよ」と好調にエンジンをふかす。ふかす癖にドアは開かない。ハハ壊れたなと笑い人間の歩調に合わせた速度を保つ車体は、相棒の生命活動のお手伝いは出来ずともお話し好きの隣人としていつだってクラクションの応援を送るし、眠れない夜には何処かで聞いた子守唄だって流してやる。はあ〜やれやれ〜手が掛かるな〜と言いながらやぶさかではないと面倒を見たがる筈だ。喋るタクシー以外の付属要素といえば、車体の大きさを自在に操れるし空も飛ぶ、また前述通りフロントガラスにさまざまな顔文字を表示してくるだろう。

Unknown
アンノウン
height
160cm
color
プラチナ #808000
shape
まるで人間のような何か
あっはははは! 何それ、おっかしーい!
今聞いたの世界で一番面白かったあ。
あ。落ち込まないでよ、僕が居るでしょ?
まるで人のようで、それは人でない何かなのだろう。ある時はその顔だけが溶けたように見えなくなり、またある時は声だけしか聞こえない時もある。日によって姿を変えるそれは、正しく人間のようでいて、人間と全く同じような姿は取らない。まるで亡霊のような形をしている癖して、触れたような温かさは確かにそこにある。不確かな存在はやはり幻らしいそれだった。よく泣き、よく笑い、よく叫ぶ様は子供のようにも見えるだろう。一方で、大人同然のような表情を見せることもある。掴みどころがないかと思えば、掴めそうだと思わせるようなところもある。そんなありとあらゆる人間のような要素を詰め込んだ存在だからこそ、きっとひとりぼっちで残された存在にも寄り添うことが出来た。それがいつか簡単に消えてしまうような存在に違いないにしても、それでも。

ゾッキ
Zokki
height
148×105mm
color
インクブラック #3e434a
shape
よう、ともだち。今日は探偵モノだ。
きみが一人ポッチの謎を解き明かそう。
文庫本とひとくちに言っても、出版社によってその微妙なサイズ感も見開き二ページに収まる字数も書体も装丁も異なる。あるときはクリアPP加工の施された艶のある肌、あるときは中央にひも状のしおりを挟み、またあるときには片手には抱えきれぬほどの厚みを誇る。一見して状態は美しい。しかしながらいずれの姿をしているときにも、天地には赤いマーカーがひかれ、或いは奥付に済印という瑕疵が付けられていた。たとえそこに自慢のクリームキンマリをめくる指先が無くとも、自らの意思で物語を先に進めることも戻すこともできたし、不思議と「よう、ともだち」と呼び掛けることもできた。本来持たざるはずの声は、さも当然のように七色をしている。希望を語るも絶望を語るも正しく赤子の手をひねるように、生を生きるも死を死ぬも意のまま。刮目せよ。事実は小説よりも奇であるが、いまやこのA6サイズの世界こそが、事実であり小説であり奇なのである。