(確かに、あの時ニュースで隕石は逸れたと言っていた。けど凄まじい閃光と衝撃音は事実だった。それが何個落ちてきたのかも、なぜ自分だけが生きているのかもわからない。だが崩れた建物もあればまだ形を保っているものもあり、一見荒廃しているが生活はそこそこに出来ている。スーパーや民家などで食材を確保できることもあって、野草にはまだ少ししか手を出していない。周囲のことしか気にかけず狭い世界で生きようとすれば、無駄な冒険をすることもない。それにもう、わかりたくなかった。)あ゛ー腰いった…。(スコップ片手にトントンと腰を叩いて、曲がっていた姿勢を正した。都内にしては珍しく広大な敷地の庭があり、豪邸と呼んでも差し支えない家で先日は眠りについた。翌日、昨日の内に倉庫らしき場所で見つけていたスコップで穴を掘り始めた。穴の大きさはまだ一人分にも観たない。)サスペンスで死体埋めるシーンあるけどこれ重労働すぎない? 絶対汗かくしそこからDNA取られてバレるわ。(独り言にしては大きく、人と対話をするにしては素っ気ない声音。袖で額を拭う。クローゼットから拝借したシルクのシャツが汗で滲んだ。もともと虫に食われて穴も空いているが。)ショベルカーになって一瞬で終わらせてくれりゃいいのに…。(じろりと横目で自分で作り上げた幻覚を見ながらため息混じりに無茶振りを吐く。穴の横には老夫婦が二人、まるで眠っているように横たわっている。でも息はしていない。こんな人たちをたくさん見てきた。それでもこうして穴を掘ったのは初めてだった。)
2021/12/12 02:04 [41]
タクシー
2021/12/12 15:59 [54]
あんたの綺麗な顔にゃ土いじりは似合わないね。(生存掛かった旅路において口か顔を挟む以外特段してやれることはない。手があるわけでも足があるわけでもないただの車だ。否、運べない時点で車の要素も満たせないかもしれない。せめて肉体労働に汗水流し励む相棒へ、エイエイオーのクラクションをぷっぷっぷー!と響かせつつ『 (o尸'▽')o尸゛』なんて応援をフロントガラスに表現した。あとは後ろで控える他ないにしても、荒廃進む世界に不釣り合いなほど真っ黄色に目立つタクシーは独り言以上対話未満の声だって取りこぼしはしないだろう。)死体が見つかりさえしなきゃ発覚しない…。(おどろおどろしい声を発して、ガガッと引っ掛かりながら僅かに窓を開ければ彼女の記憶に残るサスペンスのテーマ曲でも再生しよう。完全に死体を埋めるシーンであり事実も一切異なることはない。都合よく刑事も登場しない。穴を掘る周りを低速で回りつつ)はっはっは。面白いジョーダンだ相棒。あんなデカブツゴツゴツの愛嬌ゼロになって欲しいって? シャベルカーでじゅーーーぶん。(口早に言い包めるフロントガラスには『 (#)`ω´(#) 』と怒ったような拗ねたような顔文字が表示されて「純がショベルカーを連れてきたらこの穴にそれを落っことすよ。DNAは出ないね。」と物騒に妬くたった一台滅亡から生き残ったタクシーだ。向かい合う形で停車したならそもそもと声が発せられる。)だれ?これ。いや、なに?これ。今までこんな作業してなかったじゃん。埋めなくても見つかりっこないない。純以外には。(犯罪を犯した訳でもないのだから埋める必要性を感じられなかった車は『 ( '-' )σ " 』とまるで死体をつっついている顔文字を映し出す。車だから道徳心や倫理観や人間としての常識に疎いらしい。)
2021/12/12 15:59 [54]
まあね、マンション決める時にベランダで家庭菜園できますよ〜って言われても全然興味なかったし。……なんだこの遠回しな自画自賛。(自分の頭の中にいる存在相手に謙遜するほど無意味なことはない。だから受け入れてみたけど、これはこれで虚しくて乾いた笑みがこぼれた。クラクションの応援は聞こえているが、いまいち回復しないこの体。フロントガラスに映し出されるものを見て「その顔文字腹立つわ〜…」と呟いたのは何度目か。多分2桁にはなっている。スコップを土に突き立てて、穴の大きさを広げた。土が周りを走る車に当たらないようにしているのは、それを実在していると錯覚した意識がどこかにあるからだ。)テテテテ、テテ、テーテー。きみ共犯者ね。(テーマ曲に合わせるように口ずさむ。凄腕の刑事も科捜研も現れない完全犯罪。完全すぎて達成感がないので、登場人物を増やした。正確に言えば人ではないし、これも自分の一部なのだが。)ああいう無骨なやつほど歳とるとモテるの知らない?(軽口を返していたが、想定していなかったヤキモチっぷりに「こわ〜」と声を上げて笑った。実際に起きても同じように笑っているだろう。でもここに落とすのは人間の予定なので、周囲を探して連れてくることはない。疲れてきたのでスコップを動かす手を一旦止めた。)姑と舅。…多分ね。(死体を見下ろす双眸に悲しみはない。でも「不謹慎な顔文字に気づけば「やめなさい」と子供に言うみたいに制す。)埋葬は前々からちょっと考えてたんだけどね。でも庭狭いとめんどくさいし、すごい腐ってんのは触りたくないし。今回はちょうどいいと思ってたけど…もう二度とやりたくない。(げんなりとした顔が出来るくらいには、罪悪感とか人として大事なものは壊れていた。でも他者を制したり中途半端に放り出せない程度の倫理観はある。「自己満足だよ」自分で再認識するように付け足して、)
2021/12/13 02:18 [65]
タクシー
2021/12/14 01:04 [77]
なんで? 純は綺麗じゃん。(賛美の言葉は自意識よりもむしろ他者の記憶から形成されているのか。改めるけれど美しいノリツッコミに『 ヾ(*´∀`*)ノ 』わいわいとはしゃいだまま、)いつかは畑仕事も必要になったりして〜。(何も手伝えやしない車の種類の為にふふふと想像に笑いをこらえている響きさえ伴ってしまう。応援の顔文字やクラクションはお気に召さなかったようだから、サスペンスのテーマからロッキーのテーマへと曲を入れ替えてやる気を引き出してみた。)は〜〜!? 無骨〜〜…??? ………。(文句含有した反応こそすれ相棒もそれを好ましく思っているならと律儀に無骨要素を取り入れよう。が、沈黙を流して本当にただの車と化してしまうのみ。つつく行為を咎められると即座にパッと顔文字が切り替わる。『 |・ω・`) 』暫くそこらの小さな動物の置物にでかい車体をこそこそ隠しつつ続く言葉を聞き届ければ、前硝子に薄らと彼女だけを写して短く「やめちゃいなよ。今から。」と今度はこちらが制止を掛ける番。彼女を第一に考えると、病原体に負けない為にも体力があるに越したことはない。向かい合った形で穴間際まで近寄って)この様子だと既に世界全土が墓場になってるからな〜。どうせいつかはみんな仲良く土に還るよ。それでもそれが愛なら、100年後相棒のことは自分が埋めてあげようか。(自己満足の下地に愛に似た形があるのならと『 d=(´▽`)=b 』存在しない親指見せ付けたまま躊躇いもなく約束を紡ぐ。されども彼女のお墓より先に手を付けるべき問題があるからフロントガラスには大きくクエスチョンマークが浮かび上がる筈だ。)あんたの家族はどうすんの? そこの老夫婦とか親じゃなくて。(少なくとも自分が生を受けた瞬間からは見掛けていないだろう。静寂を埋めるエンジン音が休憩するように止まって尚この車には意識がある。)
2021/12/14 01:04 [77]
ははは。イケメンに言われてるって脳内変換しとこー。(上がった口角と笑い声。でも目は凪いだまま。2回目はさすがに素直に受け入れられなかった。自分で作った存在、しかも車相手に気恥ずかしくなるなんて格好のつかない話だ。)ホームセンター行けばあんのかな。ハードルたっけ…。(確か小学生の時に育てたはずの朝顔かミニトマト。どちらかか覚えていない時点でまともに育ってないことは明らかだ。ロッキーのテーマに切り替われば、一度もちゃんと観たことないのに生卵を飲む映像だけ脳裏に過った。穴を掘るスピードは変わらないが、少し何かと戦ってる気分になる。)……無機物。(沈黙に付き合うように口を閉ざしてみるが、喋らない車はただの車だ。顔文字がパッと切り替われば「よし」と納得したように肯いた。制止はスルー。スコップを地面に突き立てたまま、姑をずるずると穴の近くまで引きずる。このまま入れたら足だけ無様にはみ出てしまうだろう。一個の穴に二人分入れるのアリかな。)私が死ぬ時は君も死ぬんだよ。私の中でしか生きられないんだから。(引きずっていた手を離せば、ゴツンと頭が地面に当たる音がした。気をつけていたつもりだが、距離感を誤っていたようだ。車のほうに目を向けても、写るのはどこか懐かしい顔文字と嫌な女の顔だけ。昨日鏡で見たから正確性のあるまぼろしだ。その女が目を伏して笑う。)さあ。あの野郎どこ行っちゃったんだろ。……もう、もうヒロはっ、(一人の家族は知らないが、もう一人は知ってる。恨み節の声音が徐々に震えていった。この手に抱えていたのに、あの瞬間遠くに吹っ飛んで──大事なあの子があんな、あんなぐちゃぐちゃに、)っ、 お゛ぇ、(脳裏に浮かんだ映像を鮮明にするより拒絶感がこみ上げれば、昨日の夕飯と胃液を吐き出した。咄嗟に抑えた手は吐瀉物で汚れ、それはシャツにも穴にもついている。汚れた手はシャツで拭いて、そのまま地肌につかないように脱いだ。そのままくるくると丸めて穴にぽん。そこを指差す女の顔色は残念なことに正気だった。)墓場からゴミ箱に変更。…あいつのことは見つけたら君に乗せていい?(何事もなかったように平然とした顔で問いに答えた。悲哀は長く続かないし、この車の前で吐いたのは初めてじゃない。あと初対面に意地でもドアを開けようとして無理だったことは覚えている。家族の顔は忘れかけてるくせに。)
2021/12/15 00:58 [91]
タクシー
2021/12/16 01:40 [106]
ふう〜ん、ベンツ様がいいってことか〜。ふううーん。(イケメンを外車に繋げては地面にのの字でも書き始めそうな不貞腐れた台詞を吐き出した。トマトを育てる彼女の姿は妙に微笑ましいし既にハードルを高く見積もっているから『 _/\○ノ″www 』分かりやすく反応を示すだろう。)タクシーが壊れても決して相棒が死ぬことはないのにね。その時は埋めてくれる?(幻の存在は彼女次第で生き死にが決まる。老夫婦を埋葬する手を止めないのならそれ以上の制止を掛けることはなくせめて見守っていたところ、一瞬間の感情の昂りが精神面から身体への異常に帰結すると、広がる吐瀉物の染みに『 Σ(OωO )! 』驚きの表現で埋め尽くされるのか。じゅじゅじゅじゅじゅん!と慌て声に重なる顔文字も等しく『 (゜д゜;)二(。д。;) 』はわはわとフロントガラスを動き回り慌てていた。手が無ければ拭ってやることも出来ない。きっと生き物であれば耳と尻尾を垂れているような声音で)……あんたにとってこの世界は地獄になっちゃったのかな。それでも自分はまだ相棒と生きていたいよ。…………両手があればここで映画みたいにハグしてた。(せめてもの抵抗として『 (っ´>ω<))ω<`) 』仲睦まじい顔文字を貼り付けておくだろう。家族を失った彼女の悲しみの底深さも僅かなら理解できる。だって自分も彼女が死んだら悲しいだろうから。実際はそんな感情芽生える瞬間もなく幻はただの塵にもならずに潰えるが。基本彼女だけを乗せていたい(乗せてみたい)タクシーは旦那様への乗車に嫌そうな声を漏らし)え〜…………相棒がどうしてもって言うんなら乗せてあげてもいい……。お金の概念が無くなった世界で何を支払ってもらおうか…。(ぼそぼそと口早に紡いではバック前身バック前身を手持ち無沙汰に繰り返そう。ゴミ箱に脱ぎ捨てられた服を眺めると)実は裸ん坊になっても大丈夫。銃を撃っても咎められない。もちろん道路で限界までスピードも出せちゃう。……自由へ狂っちゃってもいいんだよ。過去はまだ過積載みたい。(いつか正しく事実を悲しめる日まで、開かないドアの此方側へと押しやっていく。)
2021/12/16 01:40 [106]
車的に外車ってイケメンなの? いいよね左ハンドル。(その基準のイケメンは頭になかったが、高級車は嫌いじゃない。それでも自分で買いたいと思ったことはないし、しみじみと呟くけど興味は薄い。一発でわかるフロントガラスに映し出されたそれに「腐らせてからやってくれる?」と抵抗の意を示そう。命がかかってるなら無事に実らせることはできる、かもしれない。)君が簡単に穴に落とせるほど軽かったらね。(もしそんなことが起きればあの車はきっと羽みたいに軽くなるだろう。だってあれはそういう風にできているのだから。悠長に話をしていたのに、たったひとつのきっかけで喉が痛い。鼻から出てないだけまだマシか。)ははっ…。(聞こえてくる声に笑い声が落ちる。口の片端はまだ汚れたままで、自分は心配されたいのかと頭の遠いところでぼんやり思う。それとも記憶の反芻か。おかしくなりきれないせいで考えてしまうことはたくさんあった。)……最初から、この世はちょっと地獄だったよ。でも、そうだな。君みたいなのがいるからどうにかやってけるのかも。(お喋りで、顔がないのに感情豊かに見える車。そんな存在を作り出せたおかげでこの世は地獄だけど、ここは底辺じゃない。相棒と呼び返せるほど素直な精神じゃないのはご愛嬌。対価について首を捻るが、物騒なものしか思いつかなかった。「臓器とか…?」でも一応言ってみる。)裸はなんか細菌が入って来そうだからやだな…。(眉を顰めてぽつりと現実じみたことを呟いた。それでも、まともからは外れていたい。)今度両手離して一本道走ってみたいな。…ま、とりあえず服。その後に昨日見つけた高そーなワインを飲む!(これは狂う為の第一歩。全部置き去りにして室内へと踵を返す。「ほどよいサイズになって〜」と振り返らずに手を振って伝えた。今のサイズでも問題ないが、室内ならもう少しコンパクトが望ましい。)
2021/12/17 01:56 [116]
タクシー
2021/12/18 19:46 [137]
自分を失って、その夜明け色の目から涙を流すのは見たかったな。綺麗だろうし。他の奴に泣かされてたら轢くけど! いいだろ!?(正直な車は腹蔵ない言葉を並べて『 ヽ( `皿´ )ノ 』黒い顔を見せた。唯一その子どもに彼女が感情を極限に揺さぶられようとも敵対心抱かないのは、深い愛の一端を分け与えられて握らされているからだろうか。そして彼女がおかしくなりきれない原因の一端はその子の存在にあるのかもしれない。)……ふたりでおもしろおかしくランデブーしたら、きっと天国に見えるんだろうけどね。(肩を竦めるような言い振りをしても狂おうとして狂えるものでもない。きっと幻の言葉は悪魔の囁きの形もしている。物騒な対価を頂戴しそうならばイエスもノーも応えずに不穏に「もらっていいの?」との淡々とした即答のあと、『 (゜∀。) 』微妙な顔文字を提示しよう。)酒盛りだーーー! 全部開けて一口ずつ飲んでさあ、缶詰もいっぱい開けてさあ、へろへろ酔っ払いの純が見たいね。甘えたになるかな?(今までだってお酒の力を纏うことはあったけれど酔い潰れる様を見たことがない。まあもしかしたら自身が眠った後にそうなっている可能性も否めないとして。クーーールに綺麗系の彼女がアルコールの力でどう変貌するのか、分かりやすく『 (o^∀^)o ゜+。:.゜ 』わくわくと胸を躍らせてみる。彼女のほとんどを知りもしないのに連帯意識と好意が先に募っている心地に、中身が伴っていく日々はどうにも充実している。幻なのに。彼女の地獄も知りたいし、今は「キス魔になったらどーしよ…」と想像にだって照れ照れもした。しかし先ずは、そうだな。)純。湯浴みしなよ。臭 なんか……あらゆるにおいが混じってる……気がする……。鼻ないけど……いや目も口もないんだけど……。後ろ向いててあげるから。(言葉紡ぐ合間にも彼女の後ろ手に応えるようにサイズ変更。掌くらいのおもちゃのタクシーに変わると流れる黒髪の天辺にぽんっと乗った。運ばれるタクシー。)相棒はこれからどうしたい? 今後もこの辺りを拠点にするとか、もっと遠くまで旅したいとか。あんたのいきたいところまで連れてくよ。
2021/12/18 19:46 [137]
別にいいけど。……それより君、助手席に口説き方の本でも置いてる?(轢く発言より自分の脳みそになさそうな言葉を訝しげに思えば、目を細めて問いかける。今まで言われた褒め言葉を全部覚えているわけじゃないが、もしかしたら海馬の奥底にしまってあったのかもしれない。)天国が見たくなったら君と空でも走ろうか。(隕石とやらがどこまで地球に影響を与えたのかわからないけど、昼間の空は健全に青々しい。ふと見上げれば、地面ばかりを見ていたせいか首がぽきりと鳴った。顔文字と声音の噛み合わなさに違和感を覚えながらも「二個あるやつだったら」と真顔でピースサイン。余った一個は私のものだ。)缶詰もいいけどチーズも食べたいな。……地面にキスしたことならある。(熟成って置き換えたらいけるんじゃないかというチャレンジ精神。食あたりの経験もなく、食べ物で痛い目を遭ったことがないので度胸はいくらでもある。酔った時の思い出は車のわくわくを殺すだろうか。酒癖、いいか悪いかで分けるなら悪い。)失礼な。まだそこま……もらいゲロしそう。(くん、と腕に鼻を寄せて匂うのは体だけではなく顔まわりも。自分で吐いたのが理由でも、もらいと呼ぶのだろうか。一瞬湧いた疑問はすぐ捨てて「めんどくさいな…」と呟いた。お風呂入るの面倒だけど入ったら気持ちいい現象は100年くらい全人類が言っている気がする。その人類も自分だけになってしまったが。頭に乗った車を落とさないよう多少気を使いながら室内へと戻る。)乗れないタクシーがどうやって連れてくの。……遠くへ行こうか。ここは色んなものが多いから。あ、温泉行きたい。(肩を竦めるけど自然と出た声は柔らかかった。でも遠くに行くとしても限界は決まってる。「日本が島国じゃなかったらよかったのにね」泳いで渡るのは無理だから。いまさら地理に嘆いて、最後まで面倒と言いながら体をきれいにする準備を進めた。防災用の賞味期限が平気な水。焚き火に使えそうな材木。ガスも電気も使えない不便な暮らしだ。キャンプ動画を観るのは好きだけど、実際やるならグランピング派だったし。)
2021/12/19 18:31 [146]
タクシー
2021/12/20 14:55 [158]
(呆けて見つめるように『 ( ゜O゜ ) 』暫し顔文字を呈してから「口説き方ぁ?」と緩い音声が聞き直す。助手席も彼女専用だから訝しい荷物はのせていない。与える言葉に甘さが込められているのなら、)……相棒は、無償の愛、って信じる?(謎掛けでもないただの質問だ。疑問符以上の意味はないし無限の時間を埋める一つの話題でしかない。フロントガラスにでかでかとクエスチョンマークを映してさもクイズのようではあるけれど、家族を持つ主人格の回答を待ってみよう。それはそれとして彼女とこの生み出した幻にまるで共通点がないとしたら)言っとくけどあんたが見る幻であっても、あんた自身じゃあないからね。記憶の隅っこ、感情の端っこ、ほんのちょこっと目にしただけの砂粒の何かから、純とはまるで違う生き物が出来上がってるのかも。 脳みそって不思議〜。でももしかしたら、こういう風になってほしいって願えば叶うかもよ。(口には出さないものの相棒の家族とか、ふわふわの猫ちゃんとか。しかし嘘だ。ならない。生まれ落ちて消えていくまでこの姿が変わる気はしていない。空を共に駆ける約束は迷う素振りもなくいいよと了承。楽しみと『 ヾ(〃^∇^)ノ 』笑みを咲かせるばかり。まるで爛々とした青空と同じ気持ちよさ。きっと天国から最も遠い場所かもしれない。)チーズね……納豆もセーフとか言い出しちゃうわけ? だめだ純早死にしそう……。(失礼な本音を紡ぎつつも野生のキノコを食べるに至らなければまだ停止線は引かない筈。酒癖が悪いなら悪いでそれも楽しみのひとつだから、『 ε”ε”ε”(ノ´>∀<)ノ 』子どものように走り回る。ミニチュアカーが頭に乗ってからはぴょんぴょんと上を飛び跳ねて、次なる目的地に際し)いいじゃんいいじゃん! なにで行く? 時間だけは無限にあるから徒歩もまあ悪くないけど、荷物運ぶなら車がいい? あーあ。相棒にとっては自動運転技術が確立されてから滅んでほしいとこあるね。(隣で並走もいいし、助手席でラジオをしているのも悪くはない。慣れてきた準備に、慣れてきたようにあっちに薪があったよとか口を出してお手伝い。)相棒。今日は自分の中で眠ってもいいよ。助手席。扉を開けれそうな気がするから。(されど動き出さないし、助手席に横になっている幻覚を見るだけで実際はどこかに横たわっているだけだろう。今更なお誘いをまるで緊張したように、純と呼び掛けて。)
2021/12/20 14:55 [158]
……今は信じられるかな。(はたはたと瞳が瞬いて、数拍の間しずかに思考を巡らせる。全てが嫌になりかけてた時間も、2年以上経っているから平和だったと呼べてしまう。幻覚からされる幻覚についての詳しい説明に不思議な心地になったが「ふーん」と返す相槌は腑に落ちた点がいくつかあったから。この説明自体が無意識に言わせているものだって考え出したらキリがないし。)ならないじゃん、ホワイトタイガー。(触らなくともわかる固そうな皮が、ふわふわの白い毛並みになることはない。つまらなそうに唇を尖らせたが、思い通りにならないことに内心ホッとしていた。空を飛ぶことを簡単と了承してくれる車だから、少しくらい思い通りにならない方がいい。)納豆なんて元々腐ってるんだから平気でしょ。(けろりとした顔で返すがチーズはワインと同じ扱いで、納豆はちょっと違う気がするからそれで痛い目を見ることはないだろう。頭の上で跳ねる車に重みも痛みもなく、そうなることはないだろうけど「髪に絡まったら分解するなら」と脅しみたいな冗談を向けた。)車かな。外車は燃費悪そうだし遠出するなら国産で…私に愛車概念がなくてよかったね。(自宅に車はあったけどただの移動手段でしかなかった。そのまま飛んでいきそうな軽口と口を交えながら手を動かして、薪を見つければこの家に暖炉があることを思い出した。適当に沸かしたお湯で頭と体を軽く洗って、ドラッグストアから盗んだ旅行用シャンプーたちはまだ残ってる。無人島で暮らすのは無理だが、全世界の備品が自分のものになったからどうにか暮らせてる。)……君と会った時、ヤケになってドア壊さなくてよかったよ。(暖炉に火をつけてシャトー・マルゴーも開けちゃって、いつもより大きな声で笑うようになってから毛布を引っ張り出して助手席のドアに手を伸ばした。眠りにつく場所の気分は助手席、実際はカーペットの上。ベッドに上がり込んで昨日より体は痛めた気がするけど、寝心地は今日の方がよかった。)〆
2021/12/21 14:04 [167]
タクシー
2022/1/14 21:43 [180]
あんたに軽率に一生を誓える自分の愛はどんなもんだろーね?(気分は見つめているのに眼球が無いから視線が交わることはない。ヘッドライトを目と代替して瞬きよろしくライトをチカチカさせてみる。この世界の主役にスポットライト。)ホワイトタイガーだったら食べちゃうかもじゃん。(最初現れた姿が縁もゆかりもないタクシーなのだからきっと彼女の思考に関係のない姿を保つのだろう。つまらなそうな彼女の様子に『 ⊂゜U┬────┬~ 』せめて報いろうと努める健気なフレンドタックスフンド。髪にタイヤが絡んでしまわぬよう注意を払いつつも「こら。分解って言わないの。破壊行為って言うの。」二度と戻らぬ凄惨たる自身を想像しては分解とは呼ばない主張。)…………え? 壊そうとしてたの? いくら野生に放たれたからって、野生の本能まで呼び起こさなくていいんだよ……。パトカーも呼べないこんな世界じゃ……。(まあこんな世界でドアの有無が大事かといえばそんなことはないけれど、痛みも感じない車体を縮こませるような気持ちで「こわあ〜…」と芝居がかった音声が降り小さなフロントガラスに『 (((( ;゜д゜))) 』震えが映る。暖炉に近付き過ぎて高温で塗装が溶けるー!引火するー!と慌ててみたり、響く彼女の笑い声にふ〜〜うっ!!と気分を高揚させてタイヤをバーンアウト。さて満月が昇れば広い一室でタクシーが元の大きさに戻る筈。壊すまでも無く、そもそも触れるまでも無く客を受け入れる時の如くすんなりと空いたドアは、背凭れを倒した助手席にたった一人を誘おう。)お休み、純。いい夢見れるといいね。あんたのいい夢がどんなものかも分からないけどさ。(空車だった表示板の点灯が消えて、代わりに夢中と灯る。スピーカーからは平和だった世界で流行していたラブソングが流れ始めて。徐々にボリュームを下げた音色はどこか遠い過去から響くよう。)ベッドと違う寝心地試したくなったらまた開けてあげる。特別に。
〆
2022/1/14 21:43 [180]