B:(白亜のヴァニタス)
memento2
メメント.
2021/12/22 21:55 [13]
(黙りこくった街は、凍てついて白い。吐息に似た白く濁る煙は所在なさげにくすぶって、役立たずの指先を友だちの額にくっつけた。温度のない枯れた指先を何度に感じたかも、触れた額がいつも通りをいくら塗り替えているのかもまやかしが知る術はない。ただ、寝転がるならベッドじゃなくちゃと魘される背をけしかけて白亜のアーチをくぐらせた。)お腹を出して寝てたんだろう。ボクは注意したのに。(無神論者――者と数えるにはいささか輪郭が暈けていたが――は、信仰など知ったことかと祭壇で片膝を立てている。子どもをあやすように擽った語尾で、4つ並べたチャーチチェアに横たわらせた友人を見つめていた。背後の十字架の刺すような視線がほんの少し痛むだけ。)奥の居住空間にはベッドがあったけど、その様子じゃ辿り着く前に階段から転がり落ちてボクが5人になっちゃうかもね。(バラ窓から突き刺す月光に不似合いの、たちの悪いジョークを飛ばした。隙間風と呼ぶにはいくらか豪快な風が割れた窓から土足で忍び込むくせ、人のふりをした煙が揺れることはない。)で?ほら、キミのご所望は?いつも周りのひとは、熱を出したらなにをしてくれたの?(祭壇からふわりと飛び降りて、前列の椅子に凭れかかった。とおくを見つめてみれば、境界を忘れた潮水が食い散らかして、あたり一帯海抜の低い地域は冷水で半身浴中らしい。寂しさに過敏な友人だから、視界からむやみに外れることはしない。けれど知っている振りが上手いだけの幻は、友人を蝕む病魔について正しく知ることが出来ないから、素知らぬ顔で気を揉むばかり。)子守唄がいいかな。でもキミ譲りの歌唱力じゃ生憎悪夢を見せてしまうかもしれないから、スモークアートでもお披露目しようか?この前通りがかったシアターにポスターがあったんだ。(そんな筈はないのに、行き場のない無力感が問答の好きな口をよく回らせた。)  エヴァンジェル、死んだりしないよね?
2021/12/22 21:55 [13]
evangel
エヴァンジェル
2021/12/24 02:09 [31]
(頬が赤らむのは、世界が取り残された異物を取り払わんと灯火を吹き消そうとしているから? ぐにゃりと歪む視界。平衡感覚を失った足。肌を刺す冷たい風に混じる白雪がまことのものかも分からぬまま、てれんこてれんこ、短いコンパスが硬いイスへなだれ込むように転がった。元より強いタイプではなかったが、不調が招く不安は心をうんと脆弱にさせて、けれどそれでも減らない口が)……おへそはちゃんと、かくしていたよ。(か細く異を唱える。生憎と体温計はここにないけれど、数値にすればそう高い温度でもないのかもしれない。ごろんと罰当たりな友だちの姿がよく見えるよう寝返りを打って、逆さまの顔を、唯一鮮やかなふたつの虹彩を、見つめた双眸が僅かにその背の向こうへ逸れて戻る。『十字架昇架』があっては洒落にもならなかったが、ただの十字架に安堵した息が悪趣味な冗談にすこしだけ笑った。――ぱちり、ぱちり。重たいまぶたを幾度と瞬かせ眠りへのいざないを跳ね除けながら、今となっては夢のような日々を辿ろうか。からだを横たえたまま、膝を抱えるように丸まって。)氷のまくらでたくさんねむったら、ベン&ジェリーズのコットンキャンディアイスをたべるんだ。(ズッ、とゆるんだ鼻を啜る音はべそをかいたようにも響いたろうか。身軽な友だちを追いかけたのは視線だけでなく、伸ばした指先がそのぬくもりを求めた。いつも母がそうしてくれていたように。けれど代わりを押し付けたわけじゃあない、ただ、吹き荒ぶ風がいつまでも心を冷やしてくるものだから。)うん。どっちもやって見せてほしいな。それから、手もつないでいて。ぼくがねむるまで。――…でも、ねむるのはこわいね。熱がでるといつも悪夢をみるし、………(なによりこんな場所で眠ってしまったら、果たして目覚めることができるのだろうか。押し込めた不安を紡いだのはエヴァンジェルのほうではなかった。背筋をなぞり続ける悪魔から逃れたくて手のひらへ縋りすり寄って、ベッドと呼ぶには冷たい木目に隙間を作る。)だいじょうぶ、……だいじょうぶだよメメント。ぼくは星を握りつぶしたりしていないからね。すこし休んだら、ベッドへ行くのを手伝って。きみを5人にはしたくないから、手を引くか、背中を押してくれる? それまではメメントもいっしょに転がっていようよ。
2021/12/24 02:09 [31]
memento2
メメント.
2021/12/25 12:12 [46]
じゃあきっとこの前食べたパンケーキが原因だ。 見た目より味より衛生面が大事だったね。(膝に顎をのっけたままケラケラ笑う。胃痛嘔吐etcならともかく、風邪の戦犯に仕立て上げるのはパンケーキにとっても遺憾だろうが、あいにく煙に慮りのスキルはない。そんな他愛無い会話の途中、でたらめなリズムで踵を祭壇に打ち付けていたのは、ともすれば風のノック音だったのかも。真偽は十字架の向こうにふんぞる神様しか知らないけれど。)そんなことしたらお腹もこわして大惨事じゃない?(至極不思議そうに首を傾げた。寒いなかのアイスの至極を知るには生後が浅すぎて、2、3度瞬いたひとみがまあいいやと舌先へ意識をうつす。)ボクはチョコレートチェリーにしよう。 はんぶんこにする?店舗がぺったんこになってても冷凍庫だけは生き残ってくれてたらいいんだけど。(そもそもの電源問題からは目を逸したら夢想は自由だ。差し伸ばされた指先にE.T.ごっこをお見舞いしたのは前座だから、思うままの体温で掌を握り返す。ままならない様で都合の良いまぼろしだから、欲しいものがあれば与えられるのだ。)仰せのままに。じゃあ子守唄は最後にしよう。せっかくのショーなのに観客が寝てちゃボクが可哀相だもん。(言うやいなや輪郭は一瞬で吹きすさぶ風に任せて散ってゆく。紳士のシルエットに化けて恭しくお辞儀なんかもしてみせれば、瞬間の沈黙を踏み付けてニヤリと笑った。)じゃあ今夜は寝ないでいいよ。ずぅっと起きていよう。 夜は、目を閉じるから怖いんだ。(与えられた隙間に遠慮なく滑り込んで、飼い猫がそうするように丸まった。有象無象のひとつの様。)キミが魔王じゃなくって良かった。 『どれが本物のボクでしょう』ってクイズをするのも楽しいかも知れないけどね。(瞳を閉じた方が物事がよく見えるのはなぜなのか。押しあげたまぶたで都合のいい現実を見つめて、うっかり落とした不安を蹴飛ばすように、勝手な質疑応答タイム。)エヴァンジェルが今までみたいちばんの悪夢は?
2021/12/25 12:12 [46]
evangel
エヴァンジェル
2021/12/27 01:36 [63]
……パンケーキはわるくないよ。あんなに楽しかったんだから。(理論的な否定というよりは、どちらかといえば思い出にケチをつけるのを嫌って。ツンと尖らせたくちびるは、けれどすぐに迫り上がる空咳を吐き出した。甘いメープルシロップの香り、もちっとした口触り。想起するまでもない真新しい思い出にやわらいだ眦で、食欲がないながらに乾いたくちびるを舌がなぞる。)ふふっ、たしかにそうだ。でもね、熱がさがりだしたときのアイスはとくべつにおいしいんだ。さがりきったあとはもっと。はんぶんこにするならワッフルコーンに二段重ねにしようよ。…――これはあのノートに書いておかなくちゃ。(現実は溶けて割れて塵芥になってしまっていたとしても。『友だちとアイスを分け合う』やりたいこととして綴ればいつぞか夢ではなくなるかも分からないのだし。触れ合っても光やしない指先を見つめながらいとけなく笑い、平熱よりすこし高い手のひらを愛おしんだ。それによって己の温度が上昇することはなくたって、自覚しなければいいだけの話。)わ、……!(短い感嘆の音が靄に溶ける。月明かりのスポットライトが当たる姿は神秘的で、飄々とした友だちとは似つかぬ紳士にぱちくり瞳が瞬いた。――あれは? これは? と、シワシワの宇宙人やら3つのルールを破ると増える不思議な生命体やら、期待を乗せたリクエストはさて、叶えられただろうか。)うん、そうかもしれない。むかしはさ、灯りを消したらなにかがくるんじゃないかって、こわくてひとりじゃねむれなかったんだ。(へへ、頬を赤らめて笑うのは熱のせいだけではなかった。世界が変わってしまってからは別の理由で夜を恐れてるのが照れくさい。大人とは到底呼べる年齢ではないけれど、もう子どもでもないと背伸びをしたがる年頃だったはずだ、大人さえいてくれたらね。)そのクイズは魔王にならなくてもできそうな気がするんだけど…? ――うぅん、悪夢はどれも二度とみたくないけど……こわいひとに追いかけられる夢。迷路みたいな建物からでられなくなっちゃう夢。それから、   みんなが、ぼくをわすれてしまうゆめ。
2021/12/27 01:36 [63]
memento
メメント
2021/12/28 01:26 [73]
ふうん。ならボクも1度、熱を出してみなくちゃ。お腹を出して寝ようかな。風邪の引き方も教えてよ、エヴァンジェル。(とくべつの4字に興味深そうに顎を上げた。友人を介してしか世界の有象無象を知ることの出来ないメメントは、指先でついとありもしない臍をつついて覚えのない倦怠感を知りたがる。「キミはカップにしておかないとこぼすんじゃない」と小気味良く振るって、ありもしない“今度”を夢想することも容易かった。)退屈しのぎにも使える、いい友だちだろう。(お望みとあらば人差し指同士でキスもしただろうし、影の陰影でシニカルに笑ってもみせた。子どもらしい想像力が煙を自在に踊らせて、最後は飛び立つカモメの夢でもって終演の合図。熱に浮かされて見る幻は、そこに現実感が伴わないかもしれない。それでも、1人きりの夜の退屈が溶けゆくならば合格点はそこでよかった。)なにかって、オバケとか?それともドロボウ?キミは想像力が豊かだからね。エヴァンジェルにかかればサンタクロースも闇の魔法を使ったんじゃない?(茶化して、それからアルカイックに笑う。)なら、今夜はボクがいてよかったね。(嫌いなひとりきりでは無いのだから。そういう意味合いに聞こえただろうが、事実2人というには何もかもが足りない歪だから、実際は気を紛らわせてというのがいくらか正しい。指折り数えた過去の畏怖たちには「そんなのが?」と言わんばかりのへえ、やふうん、をポツポツと落としていたが、)忘れられるのがそんなに怖い? でもキミも、きっといつかは忘れちゃうだろ。(何を、と主語はひた隠したまま、それは少し卑屈な響きで落とされた。バラ窓をポツリと雨粒がノックする。) ぁ。 ――ほら、エヴァンジェル!雨だよ。はやくあがらなくっちゃ、夢みたいにこの建物から出られなくなっちゃうかも。(瞬間的にケロリといつも通りの無形が悪戯に嘯いた。背中を押すことも、手を引くこともしないけれど、形だけは先導する姿勢を見せただろう。転びそうになったとしても、そこに差し伸ばす手はありはしないけれど。)
2021/12/28 01:26 [73]
evangel
エヴァンジェル
2021/12/29 00:35 [84]
やだっ!(食い気味の否定は眉間のシワを伴って。むすくれた頬がまた、コンコン、と咳を吐き出すことでしぼんでゆく。友だちにもとくべつを味わってもらいたい気持ちはやまやまだけれど、それよりも)メメントがつらそうなの、みたくないよ……(か細い声が弱々しく落とされる。夢をみるみたいに浮かんだ姿は床に伏せるましろいからだか、あるいは今にも消えてしまいそうな細い細いろうそくの煙か。いずれにせよ、きゅっと締め付けられた胸では受け止められそうにない。なら、もしかしてきみも――? 不安にゆらめく双眸はけれど、友だちの痛快な揶揄に溶けた。ふふっ、零した声はやわく、きゅっと細められた眦もまたおだやかな曲線だ。)うん、メメントは会ったときからずっと、ぼくにとっていい友だちだよ。(暗い夜に白い煙はよく映える。息をしなくなっただだっ広い教会も、このときばかりは友だちが掌握する板の上か。気だるい手のひらが、ぱちん、ぱちん、とのろまな拍手を打って称賛を送ろう。)よくわからないのに、すごく、こわいものだったよ。……ぼくだってサンタをそんなふうには…あれ、クリスマスは今日だったっけ? あしたかな?(吹き込んだ冷風が背を撫ぜて肩が小刻みに揺れると声も僅かに震わせて。正確な日付を知るすべはないけれど、日記帳に割り振られた仮初の数字は24か25か、それとも。神は味方ではないからと拒絶していたにも関わらず、結局、磔刑にされた男と空間を共にするならばひどく滑稽な話である。さて、)わすれないよ。だってぼくは日記をつけているでしょう。(あたたかくいつくしむ眼差しをまるまった煙へ向けて、まるで猫にそうするような手付きで境界を撫ぜる。主語が何であっても答えは変わらなかった。当初の目的は違えど、今やただ残すためだけでもないのだろう。)まって、まってよメメント。急がせないで、ころんじゃうっ。(ぐらつく視界は横たわっていたせいだ、とも、もう言い切れない。平行で硬いはずの階段が雲でも踏んでいるかのように。覚束ない足取りで、唯一真っ直ぐと導く煙を追う。時折、手を引いてとねだって腕が伸びたが何を掴むこともなく。やがて、どさりと倒れ込むように、冷たく、けれどチャーチチェアよりはだいぶんやわらかなベッドへダイブした。ざらつくシーツは心地良いとは言えないし、埃を吸い込んでむせたりもしたけれど、まぶたを落とさない理由はそれじゃあなかった。)
2021/12/29 00:35 [84]
memento
メメント
2021/12/30 02:13 [97]
(上塗りする「やだ」を強調するみたいな眉間のシワが、そりゃもう深いものだから声をあげて面白がった。「えー」と赤子らしい駄々も追随したが、結局は愉快そうに燻るのが関の山。)大丈夫。もしそうなったってキミが魔法みたいに姿を変えて、子守唄を歌って、それから3段重ねのアイスクリームを買ってきてくれたらすぐに良くなるよ。(刻まれた件のマリアナ海溝を埋没させるように、額を靄がくすぐった。無理難題を押し付けることに悪怯れたりはしないけど、不安ですよと口より語る青いひとみを真っ直ぐ見つめて唇のほとりは薄く笑う。尤も、煙のままだから正しく伝わったかは定かではないけど。)さあ?まあ、でも間違ってても咎める人も正す人もいないんだから、それなら今日だってことにしておこうよ。ケーキもチキンもないけど、幸いパーティーにはうってつけの場所だしさ。(ボロボロにくたびれた教会は、照明も砕けてパーティー会場と呼ぶにはホコリ臭い。色とりどりのリボンの代わりに)クリスマスプレゼントは何がいい?(の問いかけで飾れば、「ボクがいるだけでいい、はダメだよ」って自惚れだって覗かせた。) なら安心だ。ねえ、キミの日記にはどんなふうにボクのことが書いてあるの?(自己欺瞞だと笑い飛ばすには、幻のくせに自我を持ちすぎていたのかもしれない。ひとりきりの寂寥感が見せた乏しい煙も、ふたりきりの世界では本物だ。急かしておいて悪気のない)ころんじゃったら、5人のボクが起こしてあげる。(出来はしないって分かっていたって、口にすればいくらか紛れるような気だってした。10点の飛び込みと同時に、粉雪みたいなホコリが部屋を縦横無尽に飛び跳ねた。)ホワイトクリスマスだね。 ロマンチック…とはお世辞にも言えないけど。(幸い無事だったらしい窓のあちら側では、夜の闇だけが寝そべっている。シーツの隙間から忍び込んだ煙が、ややあって顔だけをひょこ、と覗かせた。)何をする?サンタを捕まえる作戦でも立てようか。それとも、先に今日の日記を書く?
2021/12/30 02:13 [97]
evangel
エヴァンジェル
2021/12/31 20:08 [107]
(軽やかな笑いにより深く刻まれるシワは、けれどたゆたう煙のやわさで容易く埋まってしまう。あれやこれやと考えるきらいがあっても子どもの機嫌は秋空によく似てころりと変わるもの。天を仰いだ口端がちいさく発せられた「へたくそでも許してね」に含ませてそっと微笑んだ。ゆらめく煙から表情を視認することはできなくとも、きっと同じように笑っている、そんな気がしていた。)……教会ですごすのはいやだったのに。(クリスマスに熱を出すなんてやっぱり神は味方じゃあないんだ、うらめしく握り込んだつもりの手のひらも、上手く力が入らずただジャンケンの岩の形を作っただけ。とはいえ、不貞腐れたような口振りに反してパーティと聞いて輝いた瞳は心根をちっとも隠せていやしなかったかもしれないけれど。)ぅーん……だんろのある家? ひまわりが咲く庭? ツリーハウスもうらやましかった…… 向かいのウォーカーさんが焼いてくれるあまいビスケットも、アンドリューが自慢してたゲームも。(友だちと出会う前、世界が死んでしまう前、思い出をなぞるように、ぽつりぽつりと落とすプレゼントの案は、いうなればありふれた日常だ。まどろむように落ちるまぶたが数度をまばたきをしてふたたび押し上がる。でもやっぱり、今この瞬間なによりも求めているのは、)だめって言われてもメメントがいてくれるのがいちばんいいや。(あどけなく笑って、階段を上がりながら問い掛けや軽口を耳に留めておいた。やけに重い頭でふたつのことを同時にこなすのはむずかしいから。宙を舞った埃がやがて降りてくるのを眺めながら、更に増えた問いにまた考えるような唸り声を漏らす。すぐそこに現れた顔へ額を傾けて、おでこをこつんと突き合わせるように。あるいは、いたずら好きな友だちへ反撃の頭突きのように。)ふふっ、サンタはいないよ。みんなとおなじできっと消えちゃってる。(存在そのものの否定もこんな世界じゃあ同義だから。ごろんと寝返りを打って腹ばいになったら日記帳を開こうか。色褪せた分厚いそれと、ついこの間手に入れたノートの二冊を。片方は友だちへみせるように隣へ寄せた。)熱が下がったらきみはなにがしたい? ぼくはね、アイスもいいけどメメントとプレゼント交換がしたいな。クリスマスが終わっちゃっても。(親の目を掻い潜るように身を寄せ合って深夜に言葉を交わすのは、かつて友人としたお泊り会やキャンプの夜によく似ていた。非なるところといえば、ふたりの夜はなかなか明けてくれないことかもしれない。)〆
2021/12/31 20:08 [107]
memento
メメント
2022/1/4 01:00 [116]
アイスを落とさなかったら許してあげる。(3段重ねのアイスクリームが地面とキスしたって、どうせ上機嫌に笑うだけ。そもそも論、幻は覚束ない様でいて風邪知らずのご都合主義だけど。夢想は勝手だ。)じゃあ十字架を取っ払ってあげようか?ついでに逆さに吊るしてもいいかもね。(かくも煙は主の仰せのままに。逆十字の意味なんか生憎存じ上げないが、咎めるものもいなけりゃ聖夜を何色に塗りたくったってオール・グリーン。)あははっ、たしかに。今は特にほしいね、暖炉のある家もあまーいビスケットも。ゲームは…キミが夢中になっちゃうと退屈だから、サンタには知らせないでおこう。(ポツポツと湧き出す欲は、ちいさい様でいてこの乏しい世界では果てしない。尊ぶべき当たり前は、今や掌からぽろぽろとこぼれ落ちるばかりだから。落ちかけのまぶたを擽るように手を――手のように見える一筋を伸ばした。)もったいないな。そんなの当たり前に叶うのに。(メメントが友だちのそばにいることは、秩序を手放した世界に残った“当たり前”だ。それでも、幻は機嫌よく浮かんでいた。生まれたての子どもがするように、“そう”言ってほしかっただけの試し行為だったから。実態をもたないくせ、暖簾に腕押した頭突きにわざわざ「いたっ」と擦る素振りをみせながら、喋りたがりの唇をややあって持ち上げる。)どうかな。もしかしたら、ボクたち以外のひとがどこかに生き残っていて、今晩その窓をノックするかも。(ともすれば脅かすような響き。あるわけ無いと知っているから、くだらない“もしも”でも遊びたくなったのかも。くすんだシーツで頬杖ついて、ノートを覗き込むように頭を寄せる。)銀行強盗はどう?どうせなら、とびきり悪いことをしちゃうのも楽しそうだ。キミの腕前なら、きっと金庫も壊せるよ。(ふざけた提案だってそこそこ本気。)カレンダーなんか、ボクらのすきに書き換えちゃえばいいさ。(風も寝静まった真夜中は、まぶたを降ろさなきゃ永遠だ。目を瞑って見る夢よりも、まやかしだらけの現実が煌めいてみえるなら。きっとゆめなんかいらない。)〆
2022/1/4 01:00 [116]
本文
名前
パスワード