Unknown
2021/12/22 23:25 [16]
(まるで人間のようだった。人間のように見えても真実人間ではない「それ」は、今は身体が透けているでもなければ何かしらが欠けているわけでも、本来回る筈のところがくるくる回るわけでもない。ぐ、ぱ、と掌を開いて閉じて、それから口許に手を寄せてみれば思い切り噛み付いてみたら痛かった。血も出た。それをどうするでもなく垂れ流しにしながら、少し遠くに居たらしい彼に自ら近寄っていく。)アダム!(声掛けて抱き付く、その温度も確かに此処に在る。体温が感じるようなのは今までだってあったことだったけれど、それでも今は何処か違うような気がしていて、不思議な感覚に「それ」は首を傾げるばかりだ。)ねね、アダム。僕何かおかしいの。おかしいっていうか、変っていうか……。(けれどその可笑しさを上手く言語化出来ずに何度も首を捻った。息を吸えば彼の匂いがするのは同じなのに、触れた感触が何だかいつもと違う。それは血が通った生き物が、それと同じ生き物に触れているかのように。)……僕が僕でなくなっちゃったみたい。(ようやっと言語化したのがそれだ。周囲は先程まで草木が生い茂っていたような気がするのに、今は一面花畑みたいになっている。不思議だ。それでも彼と自分二人以外に誰も居ない空間であることはいつもと同じで、それは確かな安心材料だった。怖がっているわけでもないのだけれど、理由の分からない違和感はどうしても気になってしまうから。)僕、何か変?(だからその問い掛けは、変じゃないよを欲しがって言っていた。)
2021/12/22 23:25 [16]
アダム
2021/12/24 00:19 [29]
(まるで人間のようだった。知っている声に呼ばれて振り向けば、知っている顔が、首の下に紛うことなき肢体をくっつけて此方へ近付いてくるところだった。咄嗟に向き直り抱擁を受け止めれば、想定外の重みと温度に、肺から小さな二酸化炭素のかたまりが絞り出される。)――!(青い目を丸くして、男は戸惑った様子の友人をしげしげと見下ろした。彼の身体は完全であるだけでなく、これまでのどの瞬間よりも遥かに精巧でリアルだった。相手が何か話すたびに喉が震える様すら見て取れるようであったし、背中に両腕を回せば皮膚の弾力や骨盤の厚みまでもが手の平に伝わってきた。)よお、きょうだい。地中から生えてきたのかと思ったぜ。(人間が生えてきちゃえばいいのに。過日の呟きに由来する軽口を叩き、そこで初めて男は笑った。此処はどこだろう。記憶にない場所だ。地面には見渡せる限りあらゆる色や形の花々が咲き乱れ、極彩色のモザイク模様を際限なく広げている。空気の流れや温度は感じ取れず、血の通った人肌の温かさだけが生々しかった。)もしもアンタが変になったら、それは俺がおかしくなったって事になるんだろうな。……すっかりニンゲンらしくなったなあ、イヴ。心配するな。ちっとも変じゃないさ。手を出してみろ。俺と同じ形をしてるだろ?(抱き着く力を緩めてもらおうと相手の腕を軽く引き、それが叶えば腰を下ろして翡翠色の視線と高度を合わせようとするだろう。右の手の平を顔の横に掲げ、相手も同じようにしてくれたか、あるいは男の方から目を遣ったかは分からないが、ともかく手元に滲む紅に気づいたのはその時の事だった。)なんだ、血が出てるじゃねえか。どこの誰がやったんだ? 痛くないのか?(歯型らしき痕を見れば犯人は想像に難くないが、わざとらしく目を細めて尋ねつつ、傷ついた手をとろうとして。)
2021/12/24 00:19 [29]
Unknown
2021/12/25 03:03 [42]
(不思議な感覚だった。自分が自分でない何かになってしまったようなのは、不思議なのと同時に少しだけ怖くもある。それでも背に回る感触が、本来感じることのないものが在ることに目を丸くしたのは此方も同じだ。寧ろ目の丸まり方なら、此方が勝っていたかも。)あははっ。生えてきたら僕、生えるの止まんないなあ。今頃大渋滞だよ。(もしも此処での生やし方を知っていたのなら、自分に似たようなそれらを幾つも作ろうとしていたに違いない。彼が止めたとしても最初の興味はやはり尽きなさそうなので、きっと思う存分。生えたわけじゃない「それ」は、笑いながらも惑っていた。)そっか……? あ。……うわ、アダム、力強いね?(引かれた腕が軽いことさえ知らなかった。掌が掲げられれば釣られて同じように持ち上がるのこそ反射めいていたけれど、溢れた赤は本人的には不可抗力。)どっ この誰だろ〜ねえ。ううん、痛い。(変な節付けて歌うみたいにしながら笑った。これじゃ犯人が誰だと告げているようなものだけれど。それに今、此処にはやっぱり自分と彼としか居ないようだし。手を取られればその感触さえ不思議でじろじろと手元を覗き込んでしまう有り様だ。)傷付く、ってこんな痛いんだねえ。(初めて知りましたという顔をして、実感として知ったのは本当に初めてだ。「それ」は本来傷付かない。碌な感覚もない。だからこそもっと知りたがってみせるように、「ねねっ」と彼の耳元近くに唇を寄せては。)もっと噛んでみて欲しい。(自分が噛みましたを最早隠しもしない温度で強請る。知らなかった感覚一つ一つ、覚えて染み込ませたいみたいに。)
2021/12/25 03:03 [42]
アダム
2021/12/26 12:23 [55]
同じ顔がそこら中からニョキニョキ生えてきたら、人間ってより珍しいキノコみたいだな。(友人が植物のごとく延々と生えてくる光景は思い浮かべるだけで愉快だった。見たところ、己よりも彼の方が彼自身の変異を鋭敏に感じ取り、戸惑っているようだ。生えたての手足もまだ使いこなせていないのか、引き上げた腕は想像以上に軽い。)躾のなってないヤツだな。親の顔が見てみたいぜ。(男はといえば、元来の楽観主義ゆえか、夢特有の受容性の高さゆえか、相棒の身に起きた変化をすでに嚥下していた。己よりも少々小ぶりな手の表皮を親指で撫ぜ、感慨深げに自らの苦痛について報告する相手に相槌を打っていたが、想定外の要求が耳を打てば手から間近にある顔へ目線を移し。)はぁ? どんな願いだよ。(呆れを隠しもしない無遠慮な声で一度はそう返したが、此方を見る翡翠があまりにも未知への好奇心に輝いているものだから、結局は口をつぐみ肩を竦めてみせる。とらえた手は離さぬまま、もう一方の手を肩の上に置くと、それとは反対側の首の根本へ口を寄せ、親犬が子犬の首根っこを咥える程度の力加減で瑞々しい肌に歯を立てんとした。薄い皮膚を食い破らぬように、けれども何かしらの反応が伝わるまでは徐々に噛む力を強めていきながら、口の中で伸びた皮膚を味わう。やがて唇を離す頃合いには、くっきりと付いたであろう歯形を労わるように舌先で一舐めして。)どこかで血を洗った方がいいだろうな。近くに水場でもありゃいいんだが……、(明るい空の光を照り返す手元の赤色に視線を向ける。放っておいても治りはするだろうが、呟きながら周囲へ視線を配れば、折よく花畑の向こうに清流を湛えて煌めく小川が見えた。何時頃からあったのか、とは考えない。行くぞ、と立ち上がりながら手を引こうとして。)
2021/12/26 12:23 [55]
Unknown
2021/12/28 00:50 [72]
キノコみたいだったら食べちゃう?(生えてきた自分達を。――なんて話は勿論、本意気で言っているわけではない。ただいつもと違うのは、面白おかしく言いたいことを言おうとはする癖、拭えない違和感を少なからず怖がっているということ。人間のようで、それでも体重で比べるなら彼より余程中身が詰まっていないような軽さだ。腕だけではなく、身体のどこかしこも。多分優に持ち上げられてしまえそうなくらいには。)だって僕、気になるけど自分じゃ上手く出来ないもん。……んん。……っあはは、いたぁい。(呆れたような声が聞こえても曲げない主張は、それがどうしても気になるのだと言うように。肩に置かれた手の重さを感じながら、寄せられた口は手ではなく首。その根元に立てられんとした歯に瞳が丸まる一瞬、次いで痛みを感じて笑い声を上げる頃にはすっかり、彼の歯形が皮膚の上に刻み込まれている。最後の一舐めには、「擽ったい」と少し身体を捩じらせて。)うん? あ、こっちのか。放っといちゃ駄目……だよねえ。(血は放置しても乾くものだという認識は一応。怪我も自然治癒するということも知っている。ただ自らが傷付けたそこからは未だに止まることない血が、少量ずつではあるもののぶくぶくと溢れ出ていて、このままじゃ身体中の全部の血が抜けて行ってしまうのではないかと思える程だ。そもそも、この身体に血なんて流れていない筈だったのだけれど。自分と言うよりも彼が気にするから傷の行方については気になって、彼の視線の先を追うように眺めれば同じ小川が視界に入る。引かれた手にはまたつんのめるように引っ張られて、)っ、ととっ……ねえ、アダム、汚れるけどいいの?(今更かもしれない。彼が手を繋いだままでいると、赤はその繋がりを伝って彼の方へと届いてしまうから。そんなことが気になってしまうのも、きっと見慣れない赤色の所為だ。普段ならもっと何もかも気にせずに、ただ彼に言われるがまま、付いて行こうとしただろうに。歩く脚は少しだけ縺れたみたいに。)
2021/12/28 00:50 [72]
アダム
2021/12/29 10:33 [90]
食べたらそれこそ幻覚でも見るか、腹の中で暴れだすんじゃないか? それか胞子で増えに増えて、そのまま体を乗っ取られちまいそうだ。(極小サイズの「それ」たちが血管の中をアリの軍隊よろしく歩き回ったり、手足の筋肉を好き放題引っ張って男を操る想像も中々愉快なものだ。繰り広げる応酬は相手と同等の軽やかさで、一夜にして突然身体を授かった相棒の胸に巣食う違和や恐怖を正確に汲み取れるほど他人の機微に聡い男ではなかったが、新品同様の手指に触れる手は硝子を扱うように丁寧であったはずだ。一方で、首根へ噛みつく様子は傍から見れば犬の親子のじゃれつきのようであったかもしれないが。)放っておいてもそのうち治るだろうが、洗った方が傷の治りが良くなるさ。(安定した足場の方が少ないような旅路において、彼の前で男自身が軽い怪我を負ったことも両手で数えきれない。静脈でも傷つけたか止まらぬ出血にわずかに目を眇めてはみるが、男にとってはそれなりに見慣れた存在であるゆえ対応も冷静なものだ。つんめのる気配を背で感じ振り向いた矢先、赤色の行方を案じる声には柔らかな笑い混じりの呼気を漏らし。)痛みが分けられない代わりに、血くらい幾らでも分かち合うよ。(手伝いに男の皮膚を濡らす体液。その温度を確かに感じながら、不慣れな足取りが転ばぬように緩やかな歩みで川を目指す。この血液のぬめりは本当に幻なのだろうか。彼が男の意識から生み出された分身であるならば、互いの体内に流れる血潮は同じものであるのだろうか。とりとめもない思惟を漂ううちに川の傍までたどり着けば、腰を下ろし眼下に流れる水を観察する。流れは花々が咲く大地同様、どこまでも続いているようで、水質はこの上なく澄んで透明なのに底が見えない。)……っと、冷たいな。(手の先を水面に浸せば、新鮮で心地よい冷たさが指に伝わる。一度手を離すと、水の上へ手を伸ばすように促し、流れる淡水を掬ってまずは患部から離れた位置に掛けてやろうとする。太陽もないのに空は明るかった。)どんな感じ?
2021/12/29 10:33 [90]
Unknown
2021/12/30 19:40 [102]
(違和感は絶えずあって、けれどいつもと違わない彼の姿に安心した。彼の言葉通りに想像した世界は楽しくて面白くて自然と頬が緩むし、彼から与えられた痛みの数々も、衝撃とは反して安心を齎してくれているようだった。彼が変わらず、自分の傍に居るというその事実を実感出来るようで。)乗っ取るんじゃなくてさ、一緒になればいいんだよ。アダムが俺を食べて、アダムはアダムだけど俺になるの。(実質的な話を考えるならば、一心同体は元からそうであるのかもしれないけれど。乗っ取って彼が居なくなる想像よりも、彼と共に成る想像の方が容易くて。そんな話をしていれば、生じていた違和は消せずとも少しずつ落ち着いて来る。更なる傷を欲しがったのは、安心だけでなく好奇心を求めた部分が大きかったかもしれないが。)そっか。アダム……は、痛くない?(訊ねたのは、それこそ一心同体のつもりでいるからだ。自分がそうなら彼もそう。そんな感覚は最早本能じみて「それ」に根付いていて、だからこそ感じるおかしさと共に確認を取ろうとしたのだけれど。)……僕もそういう格好いいこと言ってみたい!(きらきらと目を輝かせるようにして、応じた言葉と言えばそんなものだ。幾らでも分かち合う。分かり合えるようになっている存在だと、そういう認識の下で「それ」が存在しているに違いなくても、彼の言葉は力強く聞こえた。まるで本当に、人間同士がそんな話をしているかのようだ。川の傍、彼に倣うように腰を曲げる。自らその流れに手を伸ばすことはなく、触れる彼の所作をじっと眺めていれば、彼の手に掬い上げられた水で皮膚が濡れた感覚。)っ、(ぴくんと肩が揺れたのは、それが彼の言う通り、本当に冷たかったからだ。驚いたように瞳が丸まる。それから彼に向けて首を傾けた。)つめたい……?(痛みを感じたのもそうだったが、どうしてこんなにもリアルに感じるのか。不思議に思っても深くを考えようと思えないのが、今のこの環境下がさせているのだと「それ」も彼も気付けやしない。ただ一つ分かることは、今この瞬間、「それ」は彼と同じく、正しく人間のようだった。否、人間だった。きっと。そんなこと、有り得る筈もなかったのに。)
2021/12/30 19:40 [102]
ははっ、そりゃあ名案だ! ヒトは元々二つで一つの存在だったのを神が二体に分けたって話もあるしな。融合してみたら、むしろ本来の人間の姿に戻るのかもしれないぜ。(そして神はアダムの肋骨からイヴを創った。それはまさに「最後の人類」たる彼らのようではなかったか。元来リアリストである男が語る空論はあたかも現実のように流暢で、手に触れている輪郭もそこに実在するかのようにリアルだった。今までとは比べ物にならない、己の想像力の範疇を超えた質感の跳ね返りがあるように男には感じられ、幻想であったはずの存在がついに実体を得たかと錯覚するほどだった。)俺は痛みは感じないな。だが、アンタの命は感じるよ。(手首の動き、血管の軌道、皮膚の弾力と爪の硬度。なんとも素直な返事に笑いながら、それらひとつひとつを、満足げに和らいだ眦や浅く焼けた頑丈な片手が確かめたがる。彼の姿を通し、人間がどんな形をしていたかを丁寧に思い出そうとするかのように。初めての水の感触に猫のごとく驚く顔を見れば、心から愉快げに口を開けて笑った。)冷たいが、気持ちいいだろ。それが水だ。(まるでヘレン・ケラーのようだ。水を知覚し、世界を知覚した、あの奇跡の瞬間。水に濡れた肌が光を照り返して輝いた。相手は盲目でも、ろう者でもないが、今まさに初めて得た身体でもって世界との交流を果たしている。そして、最も不思議なことには、発見に対して新鮮な反応を覗かせる相棒を見るたび、男の世界も生彩を取り戻していくように感じられた。その後は徐々に水の量を増やして慣らしていき、頃合いを見て「次はちょっと沁みるぜ」と傷口付近の汚れを洗い落としていった事だろう。また、相手が水に抵抗を見せないようであれば、川の流れに自ら手を浸してみるよう提案したり、透明なそれを口に含ませ味わってもらおうと試みただろうか。あるいは足元に咲く花を手折り、その香りや花弁の柔らかさを教えたかもしれない。美しいひと時だった。何より男自身が、このささやかな授業を手放しに楽しんでいた。たとえ、アン・サリバンほど優秀な家庭教師ではなくとも。)なあ、きょうだい。俺はアンタがどんな姿でも構わないが、(夢の時間の終わりに、男は友人にそう告げた。)アンタが手に入れたその体で、生きてるってことを感じて楽しんでくれたら、それより嬉しい事はないよ。(夢から覚めた後、記憶の中の景色が色褪せ、彼の身体の輪郭が曖昧にぼやけてしまっても。ふたりで世界を分かち合った時間が果てしなく愛おしかった事、それだけは憶えている。)〆
2022/1/1 05:14 [112]
Unknown
2022/1/4 21:31 [119]
(二つで一つだったものが、元通りの一つに戻る。仮初でしかない名案が、彼が言うなら信じられそうだと思える。それは触れた感触が、温かさが、いつもとは違って、けれどいつもより確かなものであったのも一因だったかもしれない。いのち、と彼の口から出た三文字を復唱する。一文字一文字、取り零さないようにゆっくりと、はっきりと。)僕が生きてるってこと。(クエスチョンマークが語尾に付かないそれは、問い掛けのようでいて問い掛けではなかった。それを言葉にすることで言い聞かせるかのようでもあったし、実感するようでもあった。命。生きるということ。生きているということ。自分についてのそれなんて、一度として考えたことはなかったのだと、今初めて思い知る。だって生きているのは、「それ」ではなく彼だから。それが自明の理であるから、きっとそんなこと、考えようとも思わなかった。)きもちぃ、けど変な感じ〜……ちょっと痒い。(肌の上を滑り流れていく水の感覚は、ただ冷たいだけでなく、皮膚の上を転がるように。知り得なかった感覚を知るのはやっぱり不思議で、おかしくて、でもいつしか不安や怖ろしさは消えて何処かへ行ってしまって、意識はいつもみたいに彼ばかりに向いていた。沁みると言われても大人しくしていたのは、その結果を知らずにいるからだ。実際問題じくじくと傷から伝ってくる感覚に驚けばばっと腕を引っ込めようともしただろう。自ずから手を伸ばす方が易いだろうかと、流るる川の水からは興味を失せさせない癖、彼が川以外の花やらを示してみせるなら、直ぐにそちらへ意識を向けるだろう程度には、彼に一途な生徒然としていたに違いなかった。だって「それ」は、元を辿れば彼であるのだから。)?(夢が終わる。その気配すら感じもせずに首を傾げた。途切れた言葉の先を求めるように、視線が彼に吸い付く。おかしげに喉が鳴いた。)それよりがないって、僕が一番?(嬉しがるようにも、楽しがるようにも聞こえただろう。喜んでいるようにも。笑い顔が夢に溶ける手前にぐにゃりと歪む。それはまだ人間のような笑みの範疇で。)――でもアダムはねえ、もっと、 (紡いだ筈の言葉は夢の終わりと共に溶けゆく。彼が覚えていたかは分からない。それでもきっと、「それ」は覚えている。ずっと。まるで人間のような形を手に入れた彼のきょうだいが、彼を想って発した、希望の在処を。)〆
2022/1/4 21:31 [119]